リンパ浮腫外来

がん治療のあとに出てくる辛い症状「リンパ浮腫」。そんな症状を緩和するお手伝いをしている外来が「リンパ浮腫外来」です。

目次

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Q.1 リンパ浮腫外来とはどういうところですか?

A.「リンパ浮腫の患者さんの症状に合わせて支援をしている外来です」

リンパ浮腫とは、リンパの流れが悪くなり、細胞間隙にタンパク質や水分が溜まった状態のことをいいます。リンパ浮腫は、がんによるリンパ節切除を伴う手術や放射線治療後に腫れてくる「続発性リンパ浮腫」と、リンパ管の先天的低形成・無形成や機能不全により四肢にリンパうっ滞を発症する「原発性リンパ浮腫」に分けられます。
 当外来では、原発性・続発性リンパ浮腫の患者さんを対象に患者さんのライフスタイルや価値観を大切にしながら浮腫とうまく付き合っていけるように支援していきます。

Q.2 リンパ浮腫ってなんですか?

A.「リンパ節の切除や放射線治療のようながん治療により、正常にリンパが流れなくなり、むくんでしまう症状です」

リンパ液は静脈に吸収できなかったタンパク質や老廃物が主成分で、体中にはりめぐらされたリンパ管を通り、末梢から胸奥の深い静脈へ一方向に流れます。リンパ管の要所にはリンパ節があり、菌やウイルスなど体に害を及ぼすものを取り除くフィルターの役割をはたしています。
 リンパ節はがんの転移に大きく影響しています。がんの治療ではリンパ管やリンパ節を切除したり、放射線照射をすることがあります。体はリンパ管やリンパ節が切除されたり、正常に機能しなくなると、正しい方向にリンパ液を流すために細いリンパ管を発達させ、脇道を形成します。この脇道が詰まったり、流れが滞ったりして組織にリンパ液がとどまり、浮腫む状態をリンパ浮腫と言います。
 がん治療によるリンパ浮腫が発生するタイミングは術後すぐの方もいれば、10年以上たってから、という人もいて個人差が大きいです。

Q.3 どういう時に利用を考えればよいのでしょうか?

A.「がん治療後に以下のような症状がありましたら、ぜひ当外来にご相談ください」

  • 片側の腕や脚がむくむ
  • だるさや重さがある
  • 皮膚が硬い
  • 皮膚が張っていたい
  • 放射線治療をした周りがむくむ

Q.4 リンパ浮腫外来の治療の内容を教えてください

A.「問診・浮腫の計測をし、スキンケアやマッサージ等、複合的理学療法に沿った治療プログラムを作成、治療を開始します」

スキンケア

リンパ浮腫の皮膚は乾燥しやすく、傷つきやすいため、清潔・保湿を心がけ感染予防を行います。

医療徒手リンパドレナージ

リンパドレナージで、貯留したリンパ液を流します。セルフマッサージ指導も行います。

圧迫療法

医師の指示により弾性包帯・弾性着衣などを処方します。弾性着衣などで圧迫することでリンパ液の流れを良くして、再貯留を防ぎます。

圧迫下での運動療法

適度な運動は筋肉の収縮によりリンパ液の流れを促進します。圧迫することでリンパ液の排出や再吸収をさらに促進する効果があります。

Q.5 外来日はいつですか?

A.「外来日は以下のとおりですが、完全予約制になります」

外来日

毎週火・水・金曜日(祝日、年末年始をのぞく)

実施場所

西館 リンパ浮腫外来

担当スタッフ

河村 恵理
理学療法士
(医療リンパドレナージセラピスト、リンパ浮腫療法士)

Q.6 はじめてリンパ浮腫外来を予約するときはどのようにすればよいですか?

A.「当院の緩和ケア内科を受診してください」

はじめに緩和ケア内科の診察を受けていいただき、医師による診断後、リンパ浮腫外来の予約をお取りします。浮腫の部分に炎症がある場合、ドレナージ(マッサージ)によって症状が悪化することがあるため、診療が必要になります。

※保険外診療になります。

緩和ケア内科部長より

「当院のリンパ浮腫外来では、はじめに医師による診察、血液検査や超音波検査などを実施し、リンパ浮腫の診断や重症度の評価を行います。リンパ浮腫と診断された場合には、リンパ浮腫セラピストによる徒手リンパドレナージ、圧迫療法(弾性包帯による多層包帯法)、セルフケア支援などを行っています。」

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ご紹介いただく先生へ

「緩和ケア内科 リンパ浮腫担当医師」宛ての診療情報提供書と紹介連絡・予約申込書をFAXにて送信ください。担当者が調整し、予約日時をご連絡します。