病院長ごあいさつ
病院長 藤原 道隆

2025(令和7)年4月より、病院長に就任いたしました藤原道隆でございます。
私は、1987年に名古屋大学を卒業し、研修後の大半を名古屋大学で過ごし、消化器外科学を専門とし手術を行う一方で、手技、機器、手術支援技術、そしてVRシミュレーションなどの新しいトレーニング法の開発などを研究テーマにしてまいりました。この数年は、より広いVR(xR)医療応用や、アートやデザインの医療における意義に注目する一方、病院のマネージメントとして医療機器管理、臨床工学などに従事しておりました。そのすべてで、工学系、情報系や企業の方々との協業が不可欠で、私が創りあげた医工連携施設であるメディカルxRセンターは、本年4月以降も引き続き担当しており、東海中央病院の病院長と二足の草鞋で務めさせていただきます。
東海中央病院のルーツは川崎航空機(現川崎重工)が1937年に開設した病院で、1955年に公立学校共済組合の教職員の健康管理のための全国8病院のひとつに移管され、現在も健診やメンタルヘルス部門に継承されてます。診療科増や増床に伴い急性期総合病院としての機能が強くなり、立地する各務原市の市民病院的な存在になりました。その間、わが国の緩和ケア研究の草分け的な渡邊正病院長時代を経て、坂本純一病院長時代に緩和ケア病棟が新設され、現在の急性期~緩和までの形態となりました。近年、医療安全体制に懸念を生じさせる案件がいくつかあり、また、コロナ後の患者減少に現れている、地域のニーズと当院リソースのミスマッチという根本的な問題があるようで、病院のビジョンから個々のシステムに至るすべてにわたって刷新が必要な状況です。
各務原市は、名古屋駅40分交通圏の都市で平成時代はベッドタウンでもありましたが、大正時代からの歴史を有する航空機産業を擁する工業都市という側面が今も代表的です。人口減や高齢化は比較的穏やかで,外国籍の方も多いという特色があります。東西に長い市の南側に木曽川が流れ、中心部にはかつて岐阜大学キャンパスだった広大な市民公園があり、「公園都市(パークシティ)」と標榜されています。この各務原市にふさわしい、医療、健康、環境に関わる拠点として、「市民と地球の健康を守る」という新理念のもと、安全で透明性を確保した医療を最重要とし、多様性を重んじ地域に開かれた施設を目指します。また、持続可能な経営と各務原市が属する岐阜医療圏域で求められている病院機能を考慮して、施設の規模と機能の適正化を速やかに進めます。もちろん、地域の医療機関、行政、さらに、患者や住民の皆様と連携しながら、職員一同最大限の努力をいたす所存です。
病院機能の整備と平行して、予防医療や、環境と医療、さらに、VR技術やアートと医療についての情報・体験センター、そして、私が担当する名古屋大学のメディカルxRセンターのラボも設置して当地における産官学連携の1拠点にすることも構想しております。有事の際に頼っていただく医療機関であるのは当然ですが、日常から交流できる新しいウェルビーイング施設を目指したいと考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。

