「緩和ケアセンター」 緩和ケア通信No.12《スキンケア》
2024年03月09日 お知らせ
2月の勉強会では、スキンケアというテーマで褥瘡の予防、治療、ケアについてお話しさせていただきました。
褥瘡は「床ずれ」ともいわれているのはみなさんご存じと思います。寝たきりなどによって、体重で圧迫されている体の一部(特に骨の出っぱっているところ)の血流が悪くなったり滞ることで、その部分の皮膚が赤くなったり、皮膚がめくれてしまったり、もっと深い傷になってしまうことです。
なぜ褥瘡ができてしまうのか
健康な人は寝ているとき無意識に寝返りをうったり、椅子に座っているときは座りなおしたりして同じ部位に長時間の圧迫が加わらないようにしています。しかし、病気のため自分で体を動かすことができない方は、同じ部位が長時間圧迫され皮膚や組織に十分な栄養や酸素が行き渡らなくなり「褥瘡」になってしまいます。褥瘡は長時間の圧迫だけでなく、栄養状態が悪かったり、高齢や浮腫で皮膚が脆弱になっていたり、抗がん剤やステロイド治療をしているなど様々な危険因子があるとなりやすいため、そのような方は特に注意が必要です。
褥瘡にならないようにするためには
ベットのマットレスは体圧分散のあるものを選択します。危険因子がある場合はエアーマットレスをお勧めします。次に、長時間同一部位の圧迫を避けるための体位変換を行います。体位変換を行うときに注意することは、摩擦とずれを起こさないことです。2人で行ったり、スライディングシートを使用することをお勧めします。
スキンケア
次に、①清潔(洗浄)、②保湿、③保護の3つを行ってください。この3つを行うことで皮膚の生理機能を良好に維持するまたは向上させます。皮膚は体を守ってくれる臓器です。皮膚が強くなれば褥瘡ができにくくなります。
①清潔(洗浄)は、洗浄剤を使用し洗い流します。皮膚に悪影響を与える刺激物や異物、感染源を除去します。
②保湿で角質層の水分バランスを整え刺激に強い皮膚にします。クリームを塗って保湿します。さらに
③保護で皮膚に悪影響を与えるものの接触を回避します。撥水性のある用品を使用します。
当院では、保湿と保護の両面からプロペトを使用しています。その他には、栄養管理を行い低栄養状態であれば改善することが必要です。
手早く行える処置方法
がんの終末期の患者さんは、がん悪液質症候群によって、るい痩による病的骨突出、皮膚のたるみ乾燥、浮腫など様々な身体症状が出現し、活動性や可動性が低下します。また、疼痛により有効な体位変換ができず、褥瘡が形成してしまったり、一度形成された褥瘡が悪化してしまうことも多いです。リスクを予想して早めの予防対策を行う、体位変換は痛み止めが効いているときに行う、手早く行える処置方法の検討などを考慮する必要があります。
最後に
褥瘡を予防する方法は多方面から多職種で考える必要があります。困ったことがあれば相談してください。そして、その患者さんに合った褥瘡予防方法を一緒に考えていきましょう。
(皮膚・排泄ケア認定看護師
副看護師長 稲垣牧子)
今年度は通信発行の前月に実施した勉強会の内容を通信としてお知らせしてきます。興味を持たれましたら是非勉強会にもお越しください。
公立学校共済組合東海中央中央病院
緩和ケアセンター
2024年3月