「頭痛・もの忘れ外来」片頭痛について

2024年09月12日 お知らせ

令和6年6月より、頭痛・もの忘れ外来を開設いたしました。頭痛外来の半数以上の症例である片頭痛についてご説明いたします。

目次

片頭痛の現状について

Q: 片頭痛の患者さんや状況について教えてください。
A: 頭痛の分類の内、外来に来る患者さんの半数以上が片頭痛です。

○日本における片頭痛の患者は約840万人で全人口の8.4%
 ○かかかっている方は女性が多く、中でも20~40歳代に多い傾向。
 ○患者さんの約74%が日常生活に支障をきたしている
 ○1年間に国内で2880億円も労働生産性低下による損失がでている。

片頭痛に対する3つの大きな誤解
「片頭痛でない」と思っても実は片頭痛である場合があります。
1. 片頭痛は片側に起こる
  ←片頭痛の40%は両側が痛くなる
2. 片頭痛はズキン・ズキンと拍動性に痛い
  ←拍動性頭痛は片頭痛の約半数
3. 肩こりを伴う頭痛は、筋緊張性頭痛である
  ←片頭痛の前兆の一つに肩こりがある

片頭痛の特徴と原因について

Q: 他の病気だと誤解される患者さん多いようですね!片頭痛だと気づく特徴を教えてください。
A: 下記の症状にになります。
1. 頭痛のために仕事・家事に支障をきたす
 ・仕事に集中できない
 ・できれば仕事を休みたい
2. 頭痛のために静かな所で寝ていたい
 ・ひと寝入りすると楽になる
3. 音や光、臭いに過敏になる
 ・うるさい音、明るい照明で頭痛がひどくなる。
 ・強い香水やポマードの臭いで頭痛がひどくなる
4. 動くと頭痛がひどくなる
 ・階段の登りおり、頭を振ると痛い 。
 ・できればじっとしていたい。動きたくない
5. 頭痛とともに嘔気を伴うことがある 
片頭痛の主な引き金
●月経・排卵 ●出産後・更年期
 妊娠中は片頭痛が少しおさまりますが、出産後ふたたび痛くなります。
●寝不足・寝すぎ ●空腹
●ストレス・ストレスからの解放
●まぶしい光・強いにおい
●人混み・騒音 ●天候の変化
●温度の変化・高い湿度 ●アルコール

トリプタン製剤服薬による治療

Q: 市販の頭痛薬との違いを教えてください。
A:トリプタン製剤は片頭痛に特化した鎮痛薬です。
 片頭痛は脳をおおっている硬膜の中にある血管が拡張する時に三叉神経を刺激して頭痛がおきます。トリプタン製剤の作用は、セロトニン受容体を刺激して脳の血管の収縮作用と血管拡張物質の抑制することで片頭痛を抑えます。

イミグラン50mg
 ゾーミッグ2.5mg
 レルバックス20mg
 マクサルト10mg
 アマージ2.5mg

CGRP(カルシトニン遺伝子関連蛋白)関連薬による治療

Q:片頭痛の全く新しい薬について教えてください。
A: 今までの薬と異なり、片頭痛の原因物質CGRPをブロックする片頭痛予防薬です。
  基本は月1回投与します。金額が高いのがネックになって躊躇される患者さんが多いですが、患者さんの個人的な感想ではありますが「人生が変わるぐらい!ほとんど頭痛薬を飲まなくていい!」と言われる人もいます。
ガルカネズマブ 皮下注射を月に1回1本投与、初回のみ2本投与します。
薬価は保険3割負担で1本あたり13,482円です。
フレマネズマブ 皮下注射を4週間に1回1本投与、または12週に1回3本投与します。
薬価は保険3割負担で1本あたり12,350円です。
エレヌマプ 皮下注射を4週間に1回1本投与、上記2剤とは仕組みと効果が異なります。
薬価は保険3割負担で1本あたり12,315円です。

頭痛外来の流れ

Q:頭痛外来の診断・治療の流れを教えてください 。

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頭痛外来の流れ
●診察:初診の問診を行います。
●二次性頭痛の除外:
  脳出血・クモ膜下出血・脳腫瘍・慢性硬膜下血腫・副鼻腔炎など片頭痛以外の病気の可能性があるため、頭部CT MRI検査を行います。
●薬剤による可能性の除外:今服用している内服薬の副作用による頭痛がないか確認を行います。
 総合的に判断して片頭痛か片頭痛以外の頭痛かどうかの検討を行います。
その後、内服薬の調整と頭痛が起こりにくい環境を整えるため生活指導を行います。
                  
薬剤の使用過多による頭痛(薬剤乱用頭痛)について

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□月15回以上の頭痛
□鎮痛薬を月10回以上使っている
□3ヶ月以上前から鎮痛薬を使っている
□薬が効かなくなってきた

 上記に該当する方は、薬剤の使用過多による頭痛が考えられます。頭痛の発作の不安から早めに予防薬を服用するため、本来得られる薬の効果がなく、さらに薬を飲むことにより、頭痛が複雑化して効きにくくなります。
                  

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