「泌尿器科」女性ホルモン低下によって尿の調子が 悪くなることがあります

2024年05月15日 お知らせ

目次

1.女性ホルモン低下によって生じるGSM

GMSって聞きなれないですが、どのような症状ですか?

卵巣で女性ホルモンが作られなくなると閉経(月経が完全に止まった状態)となります。女性ホルモンが低下した更年期(閉経前後の10年間)では、ほてり、めまい、気分の落ち込みなどの更年期障害が生じることはよく知られています。最近は、女性ホルモン低下によって膀胱、腟、外陰部に様々な症状が生 じることも分かってきました。これらの症状はGenitourinary Syndrome of Menopause(GSM)と呼ばれています。

2.GSMの症状

代表的な症状

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これらの膀胱の症状を訴えて医療機関に受診しても、すぐにGSMと診断されず、膀胱炎や過活動膀胱と診断されることがよくあります。膀胱炎や過活動膀胱の治療を受けても症状が改善しない場合はGSMを疑ってもよいかもしれません。GSMは放っておいたらそのうちに治るということはなく、適切な治療をしないと病気が進行すると考えられています。

3.GSMの診断

どのように 診断しますか?

外陰部の診察を行います。外陰部が乾燥して赤くただれていたり、尿道の出口に赤いできもの(尿道カルンケル)ができたり、膣の入り口が狭くなったりなどがみられる場合、GSMと診断します。

4.GSMの代表的な治療

①保湿剤、潤滑剤

膣や外陰部を保湿するために毎日~3日ごとに保湿剤を使用します。 また、性交渉の際の痛みに対しては潤滑剤を使用します。

②エストロゲン局所療法

女性ホルモン剤のエストロゲンを腟内に挿入します。女性ホルモンの注射やのみ薬などでは血液中のエストロゲン濃度を上昇させるために血栓症などのリスクがあります。しかし、腟内投与の場合は血液中 のエストロゲン濃度には影響しないため、安心して使用することができます。

最後に

GSMは自然治癒が期待できないため、適切な治療がおこなわれないと、つらい状況が長くつづく可能性があります。40歳以上の女性でGSMにかかっているのではと心配な方は、お気軽に当院の泌尿器科へ受診ください。

    

公立学校共済組合 東海中央病院
第二泌尿器科部長 尾崎 由美

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