脳卒中予防のお話
脳神経外科部長 松久 卓
脳卒中の「卒中」とは「突然倒れる」ことです。特別な場合を除いて予測することは困難です。脳卒中になると命は助かっても、その後大なり小なりの後遺症が残り、その後遺症と付き合わなければなりませんので「脳卒中は予防することが何より大切である」ということがわかります。
脳卒中の危険因子はいくつかありますが、その中でも重要な因子は高血圧です。高血圧を治療することによって一番減少する疾患は脳卒中です。収縮期血圧が10mmHg上昇すると、心疾患は15%増加するのに対して脳卒中は20%増加すると言われます。高血圧の治療として、お医者さんから頂いたお薬をしっかり内服することは大切なことですが、その前に生活習慣の修正として、1)「減塩」2)「減量」3)「適度な運動」を心がけるほうが大切です。
1.「減塩」について
国民栄養調査によると、日本の中高年の1日平均食塩摂取量は12g前後、高血圧治療ガイドライン(2004)では、この1日食塩摂取量を半分の6gを推奨しています。1日あたり食塩摂取量を3g減らすことができたら、収縮期血圧は1~4mmHgの低下が期待できるといわれます。
具体的には、味噌汁は1杯まで、ラーメンやそば・うどんの汁は飲まずに残し、味付けは、胡椒、唐辛子、レモン汁、酢等を上手に使い、塩・醤油の使用量を少なくする。
2.「減量」について
BMI= (体重kg)÷(身長m)÷(身長m)が25以上の場合は減量が必要です。体重が2kg減量できれば、血圧は3~4mmHg下がり、その結果脳卒中の発症は30%程減少するといわれます。
摂取カロリーと消費カロリーの差が体重の増減となって現れます。摂取カロリーを減らすためには、まず揚げ物を減らす。そして肥満の人は、空腹感を癒そうとして早食いの傾向があります。すると血糖が上がって空腹感がなくなる前に過量の食物を摂取することになりますから、ゆっくり食べることが大切です。それが難しい場合には、食事の前にトマト1個をコップ1杯の水と一緒に食べてから食事をするようにしてはどうでしょうか?私の友人はこの方法でダイエットに成功していました。
3.「適度な運動」について
「適度な運動」とは、「軽く汗をかく」あるいは「軽く息切れのする」程度の有酸素運動をさします。具体的には早歩きの散歩が手軽でお勧めです。毎日30-40分続けることが良いとされます。日常生活では、上下1-2階はエレベーターを使わず階段で行く、1km以内は歩く、4km以内は車を使わずに自転車で行くといったことを心がける。
以下に日本脳卒中協会が掲げる「脳卒中予防十か条」を載せておきます。これらを守って脳卒中の予防を心がけましょう。しかし、万が一「半身に力が入らなくなった」「歩くとふらふらするようになった」「物が言いづらくなった」「急に激しい頭痛・嘔吐が出現した」等の症状がみられましたら、「少し様子を見てから」とか「明日の朝になってから」とか言わないですぐに我々医師にご相談ください。
| 脳卒中予防十か条 | |
|---|---|
| 1. | 手始めに 高血圧から 治しましょう |
| 2. | 糖尿病 放っておいたら 悔い残る。 |
| 3. | 不整脈 見つかり次第 すぐ治療 |
| 4. | 予防には タバコを止める 意志を持て |
| 5. | アルコール 控えめは薬 過ぎれば毒 |
| 6. | 高すぎる コレステロールも 見逃すな |
| 7. | 食事の 塩分・脂肪 控えめに |
| 8. | 体力に あった運動 続けよう |
| 9. | 万病の 引き金になる 太りすぎ |
| 10. | 脳卒中 起きたらすぐに 病院へ |


